15年続く運動教室がやっていた3つの「仕掛け」

2026/11/06
事業を継続されている会員さんを紹介する「わくらく起業家ファイル」
第7回は、大阪市西成区でからだ改善スタジオ笑顔工房ふれ~るを運営されている佐々木倫子さんを紹介します。


西成区の「跳ねるスタジオ」に、15年続く理由があった

大阪市西成区・花園町にあるからだ改善スタジオ 笑顔工房ふれ〜る

代表の佐々木倫子さんは、トランポリンや、上から吊り下げるタイプのバンジージャンプ式の運動を軸にしたスタジオを15年続けてこられました。

 

「跳ねる」って、実はよくできた運動です。

足腰への負担が少ない。

そして単純に、楽しい。

 

私も体験させてもらったのですが、想像の3倍しんどくいけど、楽しかった。

音楽に合わせて跳ねているだけで、体力も気分も動いていく。

「跳ねることに特化したスタジオ」って、探してもなかなかありません。

 

ただ、15年続いている理由は、そこだけではありませんでした。

 

仕掛け① 「楽しい」を、機能として設計する

ふれ〜るさんは、プログラムの音楽を2ヶ月ほどの周期で入れ替えているそうです。

流行りの曲も入る。右手を回して、左手を回して、と動きは意外と難しい。

 

難しいけど、楽しい。

 

この順番が大事なんだと思います。

簡単すぎると飽きる。

難しすぎると来なくなる。

その間に「ちょうど手応えがある」ラインを、15年かけて調整してこられた。

 

「楽しい」は、顧客が明日も来る理由そのものです。

女性起業家は特に、この「楽しさの設計」を後回しにしがちです。真面目だから。

でも、真面目さだけでは人は通い続けてくれません。

 

仕掛け② 発表の場をつくると、お客様が「仲間」になる

ふれ〜るさんは、教室の中だけで完結させていません。

区民祭りや地域の文化祭など、地元のダンスチームが出るようなお祭りを探してきて、「みんなで出ようよ」と企画されている。

 

本番に向けて、夜な夜な集まって練習する。

締め切りがあるから集中力が上がる。

そして本番が終わったとき、そこには「やりきった」という共通の記憶が残る。

 

大人になって、人前で何かを披露する機会って、そうそうありません。

だからこそ、その舞台は特別になります。

 

すると、スタジオの魅力が、講師やプログラムの魅力ではなく、コミュニティの魅力になっていくんです。

これは強い。技術は他の教室でも買えますが、仲間は他では買えません。

 

教室を運営している人、スクールをやっている人、コミュニティを持っている人。

技術やレッスンを提供するだけでなく、お客様が主役になれる発表の場を一つつくってあげる。

それだけで、お客様の「ちょっとやってみよう」という意識は、確実に一段上がります。

 

仕掛け③ 一人ひとりを、名前で紹介する

佐々木さんのInstagramを見ると、70代で元気に通われている方がたくさん出てきます。

 

「紹介するよ」と声をかけると、みなさん「出る出る!」と喜んでくださるそう。

これ、すごくないですか。撮られるのが嫌で逃げるのではなく、自分から前に出てくる。

 

スタジオで、大切にされていることを、本人が知っているから、スタジオのInstagramに喜んで登場して下さるんです。

 

一人ひとりを大切にするのは、教室をやっている人からすれば「当たり前」のことかもしれません。

でも、それをSNSで言葉にして、名前を出して紹介する。

すると「当たり前」が、お客様にとっての「うれしい」に変わる。

紹介された人は、その教室のファンになり、友人を連れてくる。

 

やっていることは、発信です。広告ではありません。

 

ふれ〜るさんの生徒さんが通いたくなるポイントを、私は3つに整理しました。

 

 

  • 特徴を出している(跳ねる、という一点)
  • 発表の場をつくっている(外に出る目標がある)
  • 一人ひとりを発信で紹介している(大切にされていると伝わる)

 

この3つ、業種を問いません。

 

ネイルサロンでも、パン教室でも、経営コンサルでも、同じです。

「うちは技術で選ばれている」と思っているうちは、価格比較の土俵に乗ってしまいます。

でも、特徴・舞台・名前の3つが揃うと、お客様は「比較する対象」ではなく「属している場所」として、あなたのところを選び始めます。

 

15年という時間は、才能ではなく、こういう小さな仕掛けの積み重ねでできているんだと思います。