話し方を磨く前に、椅子を変えた話
2026/08/27先日、椅子を買いました。
それだけの話なのですが、私にとっては
「コミュニケーションって、こういうことか」
と目からうろこの出来事がありました。

まず、その椅子は視界に入った瞬間に気持ちが上がる。
私はどうやら視覚情報がかなり優位な人間らしく、目に入るだけでテンションが変わるタイプです。
面白かったのは、私ではなく相手のほうでした。
時々うちに来るパートナーが、椅子が変わってから明らかにリラックスしているのです。
食後などは、このまま寝てしまうんじゃないかというくらい。
座面はもちろん、肘掛けの部分がゆるくアールを描いていて、触り心地がいい。
「これ、触ってると気持ちええな」と言ってます。
座るための道具だと思っていたものが、好きな姿勢を支え、手のひらに安心を渡している。
そして、相手の状態がいいと、こちらの話もよく通る。
関係性が、早い話がよくなるのです。椅子ひとつで。インテリア、侮れません。
私は「目」と「鼻」の人だった
空間づくりにはもともとこだわりがあります。
まず明るさ。
ランチのお店選びでも「窓が大きいところ」と主張し続けていますし、今のオフィスも大きな窓と光の入り方で決めました。
光が入ると人は前を向けるし、空が見えて広がりがあると、未来のビジョンを描くときの思考まで広がる気がするのです。
逆に窓のない部屋や地下は、親密さが増して、内緒話や心の暗い部分を出すにはむしろ向いている。
ただ、うちは未来をつくる会社なので、広がりのほうを選びました。
香りも同じです。アロマセラピストから始まったこともあって、前の事務所ではエレベーターを降りた瞬間にお香が香るようにしていました。
「あ、わくらくに来た」と体で感じてもらう仕掛けです。
今も自宅の玄関で朝にお香を焚いています。ここからは外の世界とは違う、という合図。
見落としていた、第三の感覚
視覚と嗅覚は意識していたのに、触覚はまるでノーマークでした。
体に触れているもの、手のひらが乗っているものが、その人の状態をこんなに左右するとは。
しかも人によって効くチャンネルは違うわけで、誰かにとっては光より香りより、椅子の肌ざわりが一番なのかもしれません。
私たちは「この人といい関係を築きたい」と思ったとき、何を話そうか、どう見られようかと考えがちです。
トークスクリプトを整え、身なりを整える。
もちろん大事。
でもその手前に、相手がホッとできる場をつくるという工程がある。
そこが整うと、驚くほど深いところまで話が届くし、お互いに思いやる余白が生まれます。
コミュニケーションの大半は、言葉になる前にもう始まっている。
相手の背中を受け止めているのは、あなたの言葉ではなく椅子かもしれないのです。
座ってみてください
ちなみに買ったのはマルニ木工さんの椅子で、本町にショールームがあります。
「座らせてください」と言えば座らせてもらえますので、気になる方はぜひ足を運んでみて下さい。
私は、どうすれば相手がリラックスできるか、いいパフォーマンスを出せる状態になれるかに、しつこいくらい興味があります。
言葉だけでなく、体からのアプローチも含めていろんな角度から検証したい。
今回はその実験を、椅子のほうが先に教えてくれました。
あなたのオフィスやサロンで、お客さまが最初に触れるものは何でしょうか。



