「起業して5年で、ほとんどが潰れる」って本当?

2026/08/25

起業セミナーに行くと、たいてい一度は聞かされる言葉があります。

「5年続く会社はほんの一握りです」

 

あの神妙な空気、覚えのある方も多いのではないでしょうか。

 

私はおかげさまで22年、この仕事を続けています。

そう言うと「すごいですね」と驚かれるのですが、正直なところ、あまりピンときていません。

だって私のまわり、続いている人ばかりなんです。

わくらくの会員さんも、5年、10年と当たり前のように走り続けている方が本当に多い。

そして私自身、飛び抜けた才能があるわけでもない。それでも続いている。

 

あの「一握り」って、いったい誰の話やったんやろう。

 

数字を追いかけてみたら

きっかけは、日本政策金融公庫の融資を受けたことでした。

手続きのために公庫の資料をあれこれ読んでいたら、思わぬデータに行き当たったんです。

公庫は毎年、新しく開業した企業を追跡調査していて、2020年の調査では、事業を5年以上続けている人が89.7%。約9割です。

一握りどころか、ほとんど残っているじゃないですか。

 

もちろん、ここには前提があります。公庫からお金を借りるということは、事業計画書をきちんと作り込み、借入を起こして基盤をつくろうと腹を決めた人たちです。

「まずは副業から、こっそり様子を見ながら」

という始め方の人とは、そもそも母集団が違う。

それは公平に見ておきたいところです。

 

そこで、もう少し広い数字も探しました。

中小企業白書です。

私は補助金の申請書を書くときに市場調査のデータが必要になるので、毎年のように目を通しているのですが、2023年版によると、創業後5年を経過した日本の企業の生存率は80.7%。

こちらは公庫で融資を受けていない企業も含まれています。8割です。

 

8割と9割。並べてみると、「ほとんど残ってるやん」というのが、素直な感想でした。

 

見つからなかったもの

ここで面白いのは、逆の数字が見つからないことです。

「5年で何割がやめています」という、あの通説の根拠にあたるデータ。

探しても、出てこないんです。

 

もちろん、開業届も出さずにテストマーケティング的に始めた方、副業から入って静かに畳んだ方は、統計に載らないところにたくさんいらっしゃるでしょう。

「起業した人」をどこから数えるかで、風景はまるっきり変わってしまう。

つまりあの話は、前提が違うだけの話だったのかもしれません。

 

それでも「一握り」という言葉だけが、投稿でも、コラムでも、セミナーでも、あちこちで繰り返されている。

3か所で同じことを見ると、人はもう「本当なんだ」と思い込んでしまいますよね。

そこがいちばん、怖いところだと思うのです。

 

疑ったら、AIに聞いてみる

今回私は、生存率のことが気になって、AIに率直に聞いてみました。

「5年でほとんど潰れるって本当なん?」と。

返ってきたのは、「そのデータは実は見当たりません」という答え。

そこから深掘りしていくと、どういう準備をしている人が長続きするのか、どんなリスク管理が効くのか、私が知らなかった話までいくつも出てきました。

 

だから、もし「5年で潰れるなら、私なんて無理かな」と気持ちが沈んでいる方がいたら、その暗い数字をそのまま飲み込まずに、AIに聞いてみてほしいのです。

「潰れる原因って何ですか」と尋ねれば、返ってくるのは恐怖ではなく、準備のリストです。

同じ問いでも、向きが変わる。

 

踏み出すと、力のほうが後から来る

22年やってきて思うのは、起業は「できる人が踏み出す」のではなく、「踏み出した人が、なんとかする」ものだということ。

一歩出てしまうと、なんとかしようという力が勝手に働きはじめます。

あれはもう生存本能に近いのでしょうね。

そして世の中の見え方が変わり、続ける力は後から自然に備わってくる。

 

数字を見たときは、「これ、ほんまなん? 出典はどこなん?」と一度立ち止まってみてください。

今はAIという心強い相棒がいます。

あなたの business の分野にも、まだ誰も拾っていない、あなたに味方するデータが眠っているかもしれません。