〜椅子ひとつの買い物から気づいた、専門家の本当の仕事〜
昨日、リビングの椅子を買い替えました。
「ついに」というのは、なんと24年間同じ椅子を使い続けていたから。

会社を退職して寮を出て、初めての一人暮らしを始めたときに揃えた家具のひとつ。
当時はアロマサロンも運営していたので、「サロンにも使えるアンティークな椅子」として選んだものです。
それ以来ずっと、我が家のリビングに鎮座し続けていました。
椅子って、壊れないんですよね。だから「買い替えのタイミング」も来ない。
とくに不満もない。気づけば四半世紀が過ぎていました。
今回のきっかけは、わくらく会員さんでインテリアコーディネーターの武藤紀久子さんとお話でした。
インテリアの話を聞くうちに
「プロに見立ててもらうのも面白そう」
という軽い気持ちで相談したのですが、これが思いのほか、深い気づきをもたらしてくれたんです。
「椅子を買う」という行為の、見えていなかった複雑さ
家具を買うとき、みなさんはどうされていますか?
ニトリ、IKEA、ネット通販……今は選択肢が無限にありますよね。
IKEAなら部屋のレイアウトイメージごと提案してくれるし、ネットで比較すれば店舗より安く買えることも多い。
「情報はいくらでも自分で集められる」と思っている方も多いはずです。
でも今回、コーディネーターの方に自宅まで来ていただいて、気づかされたことがありました。
椅子ひとつ選ぶだけで、考慮すべき要素がこんなにあるのか、と。
座り心地やデザインはもちろんのこと、アームレスト(肘掛け)の有無、テーブルの高さとの相性、椅子の脚がテーブルの下に収まるかどうか。
そして木目のトーンひとつとっても、白っぽい・黄色っぽい・赤みがかった・グレイッシュ・ダークブラウンと無数の選択肢があります。
「なんとなくライトブラウン系が好き」という自分の感覚は持っていた。
でも、床材の色・壁紙のトーン・既存の家具との調和まで総合的に見た上で「この一脚」を選んでくださるのが、プロの仕事でした。
さらには座面の素材選び。
ふわふわのファブリックもある中で、「ケチャップをこぼしてもすぐ拭ける、水拭きOKの素材」を勧めてくださったのも、私の生活スタイルを聞いた上でのアドバイス。
そして何より印象的だったのが、
「この椅子は日焼けしても経年変化しても、お部屋に馴染みますよ。メンテナンス体制もしっかりしているから、長く使えます」
という言葉でした。
家具を買うとき、そこまで考えていましたか?
正直、私はあまり考えていませんでした。
でもプロは、購入後の時間軸まで含めてトータルで提案してくれるんですね。
予算の2倍の椅子に座って、夢が広がった話
今回、コーディネーターさんは複数の価格帯の椅子を提案してくださいました。いわゆる松竹梅です。
その中に、私の予算の約2倍の椅子がありました。
マルニ木工さんの、木を贅沢に使った一脚。
見積もりを見た瞬間、正直「無理」と思って頭の中から外していました(笑)。
でも「せっかく近くにショールームがあるので、座ってみましょう」と連れて行っていただいたんです。
座った瞬間、わかりました。違う。全然違う。
座り心地の贅沢さ、佇まいの存在感、空間への馴染み方。
「良いものには、ちゃんと理由がある」ということを、体で理解した瞬間でした。
最終的には当初の予算の椅子に決めましたが、心は少し揺れました(笑)。
そして揺れたことで、こんな気持ちが生まれました。
「また頑張ろう。いつかあの椅子を買えるくらい、成長しよう」
もし自分ひとりでネット検索していたら、予算内の情報しか入ってこなかった。
予算外の椅子に触れることも、その存在感を知ることも、「夢が広がる」体験もなかったはずです。
プロと接することで、自分の世界の解像度が上がる。
そして「自分が本当に大切にしたいことは何か」を考えるきっかけをもらえる。
これが、専門家に相談することの本当の価値なんだと思いました。
「AIに聞けばいい時代」だからこそ、プロの価値が際立つ
私自身、コンサルタントとして「形のないサービス」を提供する仕事をしています。
情報はネットで調べられる。AIに質問すれば、それなりの答えが返ってくる。
そんな時代に、なぜ専門家に相談する価値があるのか——今回の椅子の一件で、改めてその答えが見えた気がしました。
専門家の価値は、情報を渡すことではないと思っています。
私は今回、椅子を買いに行ったはずが、気づけば自分の仕事のあり方について深く考えていました(笑)。
女性経営者のみなさんも、忙しい日々の中で「なんとなく」使い続けているもの、「なんとなく」先送りにしていること、ありませんか?
もしかすると、プロの眼を借りることで、潜在的に求めていたものが見えてくるかもしれません。
情報があふれる今の時代だからこそ、「自分の世界を広げてくれるプロ」に出会うことの価値は、むしろ高まっていると私は思っています。