「あなたの大切な名前、ちゃんと守れていますか?」〜商標登録、起業したら最初にやるべきだった話〜
2026/07/15あなたが今使っているビジネスの名前、屋号、サービス名、その名前、本当に「あなたのもの」ですか?
ひょっとしたら、他の人がその名前を抑えているかもしれません。
これ、知らなかったじゃ済まないリアルなお話を、今日はさせていただきます。
起業1年目、有名事務所から届いた「訴えます」のメール
私がわくらくを立ち上げた頃のお話です。当時はまだ本当に小さな、それはそれは小さなコミュニティでした。
ある日、会員さんのメイクセラピストさんのイベントをメルマガでご紹介しました。
その方は「フェイシャルセラピスト」という肩書きをお持ちで、私もそのままメルマガに書いたんです。
メイクだけじゃなくてフェイシャルマッサージも組み合わせて、女性を内側から輝かせる素敵なお仕事。
いい名前だななんて思いながら。
そしてメルマガを配信した数時間後——。
届いたんです。有名美容家・かずきれいこさんの事務所から。
「フェイシャルセラピストは弊事務所が商標を取得しています。使い続けるようであれば、法的措置を取ります。」
……え。ちょっと待って。
起業したてのコミュニティ主催者に、有名美容家の事務所から「法的措置」なんて言われる。
心臓が止まるかと思いました(笑)。
とにかく平謝りに謝り、メルマガも全部削除して、「今後気をつけてください」というお返事をもらって、なんとかその場は収まりました。
でもこの出来事は、私にとって一生忘れられない教訓となりました。
「言葉は、知らないうちに誰かが押さえている。知らないうちに誰かの権利を侵してしまう可能性がある。」
「わくらく」という名前に込めた思い、そして商標登録へ
私の活動名「わくらく」には、大切な思いが詰まっています。
ワーク(仕事)を楽しむ。その「楽」という字。
仕事を楽しむことで、人生を楽しむ女性を増やしたい。そんな願いを込めてつけた名前です。
だからこそ、あのメール事件の後、すぐに動きました。
特許庁の商標検索システム(J-PlatPat)で「わくらく」を調べたところ、誰も登録していなかった。
それを確認してすぐに、商標登録の手続きをしたんです。
わくらくを立ち上げてから1年も経たないうちでした。
あれからもう21年。今振り返っても、あの時すぐに動いておいて本当によかったと思っています。
商標を持っていて、実際に守れた3つの話
「商標登録って、実際に役に立つの?」と思われる方もいるかもしれません。
役立ちます。リアルに、何度も。
この21年の間に、「わくらく」という名前が無断で使われたことが3回ありました。
まず、梅田で「わくらくコミュニティセミナー」と称して活動していた方がいました。
私の名前そのまま使ってるやん!ということで、丁寧にお伝えして使用をやめていただきました。
次に、東京にわくらくという会社が設立されたことがありました。
これは少し揉めて、弁護士さんを入れてのやり取りになりました。
商標登録をしていたからこそ、きちんと交渉できたんです。
そして、ある自治体が「わくらく創業支援セミナー」という名称のイベントを開催しようとしていたこともありました。
まさに私がやっていることと同じ内容、同じ名前。
これは誤解が生じると困るので連絡したところ、名称を変更してくださいました。
もし私が商標を取っていなかったら、逆に東京の会社に先に押さえられていた可能性もあります。
そうなっていたら、私が21年間育ててきた「わくらく」という名前を、使えなくなっていたかもしれない。
そう考えると、ぞっとします。
新商品「茶縁サブレ」でも、タイミングがすべてだった
去年、新しい商品を開発しました。お茶のご縁をつなぐ、大切な人への贈り物として生まれた焼き菓子、「茶縁サブレ」。
「茶縁」という名前には、お茶の「縁(えん)」と、お茶の「園(えん)」が掛け合わさっています。
お茶を通して、大切な人との縁を紡いでほしい。そんな思いを込めました。
でも、これ、誰でも思いつきそうな名前じゃないですか。
私もそう思ったので、すぐに商標検索しました。
すると、中国茶の教室が「茶縁」という名前を登録していた。
でも! お菓子の分野ではまだ誰も登録していなかった!
めっちゃラッキー……!と思いながら、すぐに弁理士さんに連絡して手続きを進めました。
商標登録は先着順。思いついた瞬間が、動くべき瞬間なんです。

費用の目安としては、1区分でざっくり10万円前後(弁理士費用+特許庁への費用)が一般的です。
わくらくは複数の区分で登録しているので、それ以上かかっていますが、それでも「ブランドを守るための投資」と思えば十分な価値があります。
パッケージまで作ったのに……会員さんが経験した悲しい失敗
もうひとつ、忘れられないエピソードがあります。
私の会員さんで、お菓子を作られている方が「旅するお菓子」という素敵なブランドを考えました。
大阪のぶどう、和歌山のみかん、奈良の柿……各地の名産を使ったお菓子シリーズで、旅をするように全国の味を楽しめる、というコンセプト。
ストーリーがあって、パッケージまで作って、さあ売り出そう!という直前に、私がふと「商標、大丈夫?」と確認してみると——
なんと、半年前にすでに誰かに商標を取られていたんです。
パッケージまで作って、商品を仕込んで、ブランドを育ててきた名前が、使えない。
この時のショックは、言葉になりません。
思いついた瞬間に動く。それだけが、リスクを回避できる唯一の方法です。
今すぐできる3つのアクション
① 新しい名前を思いついたら、まずJ-PlatPatで検索する
特許庁の公式商標検索サービス「J-PlatPat(旧・商標検索サイト)」は無料で使えます。
例えば「わくらく」と入れると、誰が権利を持っているか、いつまでその権利があるか(10年更新制)まで確認できます。
② 使用可能と確認できたら、すぐに弁理士に相談する
調べて「大丈夫そう」と思っても、専門家の目でチェックしてもらうことで見落としを防げます。
費用は1区分あたりトータル10万円前後が目安です。
③ 「知らなかった」では守れない、と心得る
商標の世界は、知っているかどうかではなく、登録しているかどうかがすべてです。
あの事務所からの「訴えます」メールが教えてくれたのは、そういうことでした。
あなたがその名前に込めた思いは、あなたにしかわからない深さがあります。だからこそ、その名前をちゃんと守ってほしい。
名前は、あなたのビジネスの顔であり、あなた自身のブランドです。
21年間、わくらくという名前を育ててきた私だから、こそ言えます。
名前を守ることは、自分の夢を守ること。
ぜひ今日、まず商標検索だけでもやってみてくださいね。
🔍 商標検索はこちら:J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)



