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「食事の場がビジネスを動かす」——グルメ嫌いだった私が気づいた、食卓の意外な力

2026/06/16

女性経営者として25年近くやってきた私ですが、外から見ると

「おいしいお店とか知ってそう」

なイメージを持たれることがあります。

 

でも実態は真逆でした。

 

20代・30代のころの私にとって、食事とは「空腹を満たすもの」。

それ以上でも以下でもなかったんです。

意識のすべては仕事の効率化に向いていて、「いかに多くのことをこなすか」が私の人生のOSでした。

 

だから、食事の場に誘われても、心の中ではこう思っていました。

「わざわざ高いお店に行かなくても、近くの居酒屋でよくない?めんどくさいな……」

 

そんな私が、食事の場の本当の意味に気づくまでのエピソードを紹介します

 

きっかけは、センスのいい友人との誕生日会だった

経営者仲間の7人グループがあって、そこではメンバーそれぞれの誕生日をみんなでお祝いする習慣があります。

面白いことに、このメンバーの誕生日が2月・4月・6月・8月……と絶妙にばらけていて

ちょうど2〜3ヶ月に1回のペースで自然に集まれる設計になっているんです。

 

その集まりを取りまとめてくれているのが、センス抜群のグルメな友人。

いつも大阪のおしゃれなお店をセレクトして予約してくれます。

 

「食材の背景」を知ると、味が立体的になる

こだわりのお店に行くと、シェフが直接テーブルに来てくれることがあります。

「今日はこの野菜を使っていて、味付けはこんなふうにしたんですよ」

そういう話を聞いた瞬間に、何かが変わりました。

 

私は事業主として、

「このシェフはどんな思いでこの仕事をしているのか」

という視点でぐっと引き込まれます。

プロの仕事へのこだわり、一皿に込められた哲学。

それを聞きながら料理をいただくと、味が立体的に広がる感覚があります。

目の前の食材だけでなく、その背景にあるものまで想像できて、深い印象として残るんですよね。

 

そしてそういう感動的な料理がテーブルにあると、一緒にいる人たちとの会話が自然に熱くなる。

「この食感、すごくない?」

「なんか感動するよね」

——そんな言葉が飛び交い、自然と距離が近くなります。

 

おいしいものの前では、みんな"フラット"になる

以前、大阪商工会議所の女性会に入会していたことがあります。

そこにはマロニーの河内社長、昆布の小倉屋の池上副社長、アイスキャンディー北極星の社長さんなど、錚々たる経営者の方々が名を連ねていました。

60〜70代の大先輩ばかりの中に、30代の私が飛び込んだわけです。

もう完全にペーペーですよ。

 

でもそこでランチを一緒にすると、

「このお魚おいしいわ」

「このドレッシング、どうなってるんだろう」

という話で、年齢も実績も関係なく自然に盛り上がれるんです。

 

稼いでいるとか稼いでいないとか、キャリアが長いとか短いとか、そういうことが一切関係なく、「うわ、おいしい!」という気持ちを共有している瞬間、その場はフラットになります。

これが食の力だと思います。

 

ちなみに私には、佐賀県白石町の玉ねぎ農家の友人がいて、毎年送ってもらっているんですが、この白石の玉ねぎが本当においしくて。

そういうちょっとしたこだわり食材の話も、多くの人が興味を持ってくれるんですよね。

食の話は、共通言語になりやすい。

 

食事の場は、仕事につながる——意図せず、自然に

わくらくでも年2回の夜の懇親会や新年会を開催しているのですが、その場での出来事が面白くて。

 

バッグを販売されているメンバーが、自分のバッグについてさらっと話してくれたんです。

「ポケットが多くて軽いんですよ」って。

女性はバッグが好きな方が多いですから、その話が盛り上がって——その後1週間以内に5人がそのバッグを買いに行ったそうです(笑)。

 

私自身にもこんな経験があります。

経営者仲間との食事会で、「実は補助金申請のサポートもやっているんですよ」という話がたまたま出ました。

その場にいたクライアントさんの補助金をお手伝いしていることを話したら、「補助金って何?」という話になって、仕組みを説明したら——その場で3人が申し込んでくれました。

 

私はその食事会でビジネスのPRをしようとは一切思っていませんでした。

むしろ「めんどくさいな」と思いながら行っていたのに(笑)。

 

食事の場でつながる仕事は、比較検討になりにくいんです。

すでに人として知ってもらっているから、「頼むわ!」という流れになりやすい。

これはオンラインのセールスとは、まったく異質の温かさがあります。

 

経営者として、今さら気づいたこと

25年近く経営者をやってきて、ようやく気づきました。

 

食事の場は、単なる「栄養補給の場」じゃない。

人と人がフラットになり、感動を共有し、信頼関係が自然に育まれる——そういう場だったんです。

 

今は、おいしいお店の情報にもアンテナを張るようにしています。

「ここよかったよ」という情報を自分のストックに加えていくこと、それも経営者としての大切な仕事だと思えるようになりました。

 

もし「食事の場ってめんどくさい」と感じているあなたがいたら、ぜひだまされたと思って一度行ってみてください。

おいしいものの前では、すべてがほんの少し、やわらかくなりますから。